【人類の成長譚?】『幼年期の終り』の感想

小説
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あらすじ

人類が宇宙に進出したその日、巨大宇宙船団が地球の空を覆った。やがて人々の頭の中に一つの言葉がこだまする―――人類はもはや孤独ではない。それから50年、人類より遥かに高度の知能と技術を有するエイリアンは、その姿を現すことなく、平和裡に地球管理を行っていた。彼らの真の目的は?そして人類の未来は?宇宙知性との遭遇によって新たな道を歩みだす人類の姿を、巨匠が詩情豊かに書き上げたSF史上屈指の名作

『幼年期の終り』裏表紙より抜粋

1952年に刊行された本書は様々なSF小説のランキングでも必ず上位にあげられるほどの屈指の名作である。

レビューというほどのものではないが、感想をゆるく書いていく。

“地球”人類の末路

物語の中で描かれた人類の末路は“進化”であった。本来であれば喜ばしいものであるはずだが、旧人類である我々からすれば終末とほぼ同義で、もの悲しく寂しさを感じさせる。

題名『幼年期の終り(原題:Childhood’s end)』からすると、私たちは子の成長を見送る親ということだろうか。

オーバーロードの存在

物語の初めは人類をはるかに超える知能と技術をもった神のような存在である。なかなか姿を現さず、卓越した手腕で人類に安定した社会と黄金時代といわれる科学技術の発展をもたらす、まさに「上帝(オーバーロード)」である。

しかし、物語が進むと様子が違ってくる。オーバーマインドに仕える中間管理職のような立場であることがわかってくるのである。

そして最後はカレルレンの自身の種族への哀しみと旧人類への追悼で物語は締めくくられる。

本書の主人公はオーバーロード?

物語の語り口となる人物は章ごとに変わり、特定の主人公はいない。あえて言えば、人類そのものが主人公の成長物語ということだろうか。

そこで、もう一人の主人公がオーバーロードなのでは?と妄想してみた。

オーバーロードは人類を遥かに超える知能と科学技術を持ち、進化の一方の端にいるとされる。

比べて人類はまだまだ未熟だが、超自然的な力に目覚めることのできる素質があり、オーバーロードにはそれがない。そのため、オーバーロードは自身の文明が未開種族と大差ないと思えるほどの進化の頂に達することができないという袋小路に立っている。

しかしオーバーロードは、神のような存在に何万年も仕えつつも、進化の最終地点に到達するための方法を探り続けている。その姿が、圧倒的な才能の差を努力で補いゴールへ向かう主人公のように思えるのだ。

まとめ

いずれ来るかもしれない人類の進化が、私たちが抱いている希望に満ちたものとは限らない。そこに気づかされて、なるほどと新鮮な驚きがあった。

本書は1952年に刊行されており、実に半世紀以上前に執筆されている。しかし、SF史上屈指の名作という謳い文句に偽りなく、人類の未来に抱く希望といい意味での裏切り、新たな発見がありワクワクさせられる。

内容もお堅いSFではないため、SF好き以外にもおすすめの一冊。

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